九州のおでん

隠れた名店を探す楽しみ

 福岡・佐賀・大分を中心に、餃子巻きが普及している。単品で惣菜として人気が出て、九州南部へ広がりつつある。市販されているおでんだしの素にはチキンエキスが入っていることが多く、鶏がらだしの嗜好がうかがえる。
 長崎市にはテンプラ類をすべて自家製で出す名店「桃若」(本石灰町)があり、鶏がらのみのだしの同名店(大黒町)と味を競っている。また、阿蘇の高森町には古い民家を改造した「田楽専門店」が20軒近くあり、大きな部屋で囲炉裏を囲んで、昔ながらの田楽を味わうことができる。

小倉名物のおはぎとおでん
女性一人でも安心の屋台

小倉のおでん屋台 小倉の旦過(たんが)屋台はお酒を出さないおでん屋台として知られている。商店街の路上で営業していた40年ほど前、酒に酔った人が周囲の店に迷惑をかけて、屋台を締め出す動きが出た。それで酒は出さないという取り決めを行ない、何軒かの屋台が今の広場に落ち着いた。
 そのなかの「はる屋」という屋台に腰を下ろした。大きな丸鍋におでんが煮込まれ、木製の平べったいガラスケースの中におにぎり・いなり・おはぎが収まっている。おでんとおはぎという組み合わせにはちょっと抵抗があったが、3度目の訪問で挑戦してみたところ、これが意外に合っていてびっくり。酒がないので、食事に来る人が多く、ご飯類の売れ行きもいいようだ。
 だし汁は、昆布や鰹節や煮干しに加え、鶏がらや椎茸などを使うという。さらに隠し味として、「赤酒」という九州産の日本酒を入れる。どうやらこれが独特のコクを出しているらしい。
 ソーセージ・ロールキャベツ・肉団子・春菊・里芋など、おでん種は1本120円(タコは500円)。飲まないので、10種食べても1200円だ。話が弾むとオマケしてくれることも? 酔っぱらいがいないので、小倉の屋台はどこでも安心して“食事”を楽しめる。

■はる屋/TEL 090-366-31180/20時〜3時ごろ、日月休/JR小倉駅から徒歩10分

おでんのルーツ
田楽を囲炉裏端で味わう

 阿蘇岳の南麓に広がる高森町は、十数年前から田楽による町おこしに取り組んできた。そのきっかけになったのが、上色見地区にある「高森田楽保存会」(高森町大字上色見2639、09676-2-0234)だ。
阿蘇の田楽 串に刺した材料を炭火の回りに並べ、遠火でじっくりと焼いていく。両面に少しこげ目が付いたら、味噌だれを塗って、さらにあぶる。
 味噌だれには、自家製の麦味噌を3年寝かせたものが使われる。麦味噌と聞くと白くて甘い物を思い浮かべるが、阿蘇から大分にかけて赤く熟成した麦味噌が好まれている。この麦味噌を裏ごしして、黒砂糖を加え、陳皮(みかんなどの皮を乾燥させた物)や山椒を入れ、酒やみりんで調味する。塩分が濃いコクのある麦味噌と黒砂糖の甘さが、阿蘇の味噌田楽の特徴なのだ。

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