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田楽の影響を受ける串おでん 東北でおでんを注文すると「田楽」が出てくることが多い。おでんのルーツが田楽であることに加えて、今のような汁気たっぷりのおでんが入ったのが戦後になってからということも影響していそうだ。タケノコを串刺しにしたおでんのほか、アワビやホタテを串刺しにした物も見られるが、田楽風のおでんの食べ方が多い。 北海道おでんの改良型? しょうが味噌のおでん 青森の市街地から十和田方面に向かって急坂を登りつめると、広々とした萱野高原が目の前に開ける。 高原の入口に建つ土産物屋「長生きの茶屋」の一角におでんコーナーがあり、醤油の香りが鼻をくすぐる。鍋をのぞくと、コンニャク・竹輪・さつま揚げ・団子・タケノコ・玉子・ゴボウ巻き・ツブ貝・ホタテの姿があった。ツブ貝はなぜか殻付きのまま串刺しになっている。 「殻付きのまま入れるとだしが出ていいんですよ」 スーパーでも殻付きの状態で串刺しになった物が売っていたから、青森では一般的なのだろう。 鍋の横には味噌だれが入った壺が置いてあって、おでんを選ぶとそのたれをかけてくれる。少しざらっとしたしょうが味噌である。 青森市周辺では、普通に作ったおでんを皿に取って、そこにしょうが味噌をかけて食べるのが一般的だ。店によってしょうがの配合が異なり、この茶屋の味噌だれはさっぱりとしておいしかった。 おでんに味噌だれをかけると聞くと眉をしかめる人もいそうが、一度食べてみると、からしを付けるだけではもの足りなくなるかもしれない。 ![]() 同じ青森県内でも、しょうが味噌をかける地域はあまりない。青森市を中心に普及しているのは、北海道の味噌おでんの影響が考えられる。青函連絡船で北海道との行き来が盛んだったころに、しょうが味噌をかける食べ方が伝えられたのではないだろうか? 北海道の味噌おでんと青森のしょうが味噌おでんを食べ比べながら、かつて行き交った青函連絡船の勇姿を想像するのも悪くない。 ■長生きの茶屋(ながいきのちゃや)/TEL 017-738-6345/青森市大字横内字八重菊62/8時半〜17時、無休(11月中旬〜4月中旬休業/JR青森駅より車で45分 ほのかに香るしょうがが 体を暖めてくれる 八甲田山周辺には温泉が多く、なかでも人気なのが、混浴の「ひば千人風呂」で知られる酸ケ湯温泉だ。総ヒバ造りの大きな空間は、登山やハイキングの疲れをいやしてくれる。 その温泉宿の入口に、名物の「筍おでん」を出す売店がある。八甲田山周辺で採れるネマガリダケという細いタケノコを使ったおでんで、タケノコとコンニャクと揚げボールが串刺しにされ、しょうが味噌のたれがたっぷりかけられたもの。これを3本とうずらの卵の串が1本で350円。 店の名前は萱野高原に本店を構える「萱野茶屋」。昆布と鰹節のだし汁に、醤油と酒とみりんを加え、おでん種をじっくり煮込む。味噌だれは、味噌としょうがをフードプロセッサで細かく混ぜるそうだ。「コンニャクが白いせいか、関東からのお客さんは、これがコンニャクですかって驚く人もいます。でもやっぱりネマガリダケを食べてもらいたいですね」 千人風呂に入って、しょうが味噌の筍おでんを口にすれば、ぽかぽかと体が暖まることだろう。素朴なおでんは、30年以上も前から旅人を癒してきた。 ■萱野茶屋(かやのちゃや)/TEL 017-738-6400(酸ケ湯温泉旅館)/青森市八甲田山1(同上)/7時30分〜19時30分、無休/JR青森駅より車で60分 元祖おでんは豆腐の田楽 民話の郷で見つけた味 東北を旅しながらおでんを看板を探していくと、ほとんど田楽が目の前に出される。田楽に使われるのはコンニャクが多く、福島市と郡山市の間で白と黒のコンニャクの色の境界線が現れる。山形や福島の山間地ではコンニャクと豆腐の両方が使われ、岩手は豆腐が主流である。 久慈市の陸中野田駅に併設される道の駅では、炭火で焼いた豆腐田楽が売られていた。 硬めの焼き豆腐を木の棒に刺して、味噌を塗って遠火であぶる。ひとつがかなり大きいのに、1本100円とうれしい値段。味噌を塗った豆腐がいい色に焼けて、香ばしいにおいが辺りに漂っていた。青森から岩手にかけて、硬めの豆腐を作るメーカーの商品が流通していて、それが豆腐田楽に使われることが多い。きっと、昔は自家製豆腐が使われていたのだろう。民話の郷で知られる岩手県は、おでんの故郷でもあったのだ。 気さくな店主の雰囲気と 焼き干しのだしがピカイチ 仙台でおでんといえば「サンキチ」と答える人が多いほどの人気店が「おでん三吉」だ。定禅寺通りから稲荷小路を入った場所にあり、店先の大きな提灯と入口に置かれた狸の置物が客を暖かく迎えてくれる。 屋号の由来は、その昔、仙台駅前に「みよし」という人気店があったことからきている。故郷の秋田にある太平山に三吉神社があることを思い出した先代は、両方 の縁起を担いでその名を付けた。本来は「ミヨシ」と読むそうだが、「サンキチ」と呼ぶお客さんがあまりにも多いため、すっかり通称の「サンキチ」が定着してしまった。三吉のおでんの特徴はイワシの焼き干しと昆布を使ったすっきりしただし汁。煮干しは小魚を煮てから干した物だが、焼き干しは焼いてから干す。手間がかかるため、1キロ7000円と値段が高い。ちなみに高級な煮干しでもキロ3000円ぐらいで手に入るそうだ。 上品なだし汁に加えて、自家製のおでん種が際立っている。茶碗蒸し風の「にら玉」と「サンマのつみれ」がお勧めのおでん種。 現在は2代目の田村忠嗣さんが店に立つ。先代譲りの温かな人柄で、また足を運びたくなる名店のひとつ。 ■おでん三吉(さんきち)/TEL 022-222-3830/仙台市青葉区一番町4-10-8/11時30分〜13時15分、17時〜21時、日休/地下鉄匂当台駅から徒歩2分 |
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